静かなようで慌ただしく始まった2021年。
何かに毎日追われているようなそんな世界情勢の中、それでも私たちは動かねばならない状態にあります。
オンラインで学科(座学)を受けられるようになれば・・・など、誰かが「口だけはものを言う」中で。
オンライン化については今後また具体的になってきたときに改めてコラム・エッセイにするかも?として、
今回は高齢者に関係する記事などをひとまずまとめ終えたことで、深呼吸をする意味を持つエッセイとしました。
実際問題、これからどんどん高齢者は増えていくと言うのに、あまり「自分のこと」として捉えられていないのが現状です。
実はとてもとても大切な話。
お時間があるときによろしければお読みくださいね。
【認知機能の低下した高齢者の運転】そのまま運転していたらいつか死んじゃうよ!!
先日、認知機能検査の結果が第一分類だった方が、医師の診断または診断書の提出により「認知症ではない」と判定され、
免許更新のため高齢者講習にいらっしゃいました。
認知機能検査の結果は次のように分かれます。
分類 | 説明 |
---|---|
第三分類 | 「記憶力・判断力に心配ありません」と判定された方 |
第二分類 | 「記憶力・判断力が少し低くなっています」と判定された方 |
第一分類 | 「記憶力・判断力が低くなっています」と判定された方 |
先ほどのお話しをした方は、この表に当てはめると
「第一分類・・・「記憶力・判断力が低くなっています」と判定された方」ということですね。
そのような結果になると、高齢者講習に進む前に、臨時適性検査というものを受けなければなりません。
つまり医師の診断または診断書を提出する必要があるのです。
ここで医師により認知症と判断されると「免許停止または免許取消し」となります。
今回のお話では、そこで「認知症ではない」と判断され、高齢者講習を受けに来校された、というわけです。
本当に複雑ですね。
高齢者の方がお一人でここまで全てできるかということも心配になってしまいます。
さて、今回のお話の場合、不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、認知機能検査での結果は第一分類であっても免許更新は可能です。
「可能なら良いのでは?」
「それじゃ大丈夫なんでしょ?」
と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、
第一分類ということは明らかに認知機能は低下してる状態です。
この方に一緒に生計を共にされるご家族がいらっしゃるかは分かりませんが、もしいらっしゃるなら一度実際にこの方の運転に同乗されよく観察し、
運転を今のうちに止めるよう、それこそうまく説得する必要があると感じました。
それはなぜか。
なぜならこの方の実車指導を行ったときには、
何度か右折の際に対向車線に進入してしまったからです。
高齢者の死亡事故が多い理由や原因
高齢者の事故で死亡事故が多いのは、高齢者が誰かを巻き込んでしまうからというわけではありません。
高齢者自身が、もう頑丈な体ではない。
そのため事故の衝撃に耐えられず、負傷し亡くなるケースが一番多いのです。
先ほどお話しした方は認知症ではなかったけれど、運転をしても大丈夫と思われる認知機能が「第一分類」であり、認知機能は明らかに欠落していました。
現在なんとか大丈夫であるのは、周りのドライバーが「危険な車だな」と思って警戒してくれているだけで、
なんらかの原因でそれが無い状態になると、それはあっという間に事故につながります。
つまり、そのままだと「いつか死んじゃうよ!!」と言うわけです。
万が一の場合泣くのはご家族やお身内など周囲の方なのか、それとも他の誰かを巻き込んでしまうのか。
実はとても深刻な話なのです。
「慣れた道だから」良いわけではない
高齢者にとって車は生活に欠かせないものです。
簡単に「運転をやめろ」と言うのは乱暴です。
高齢になると通院されることも増えるかと思いますが、
こちらの本には徒歩5分圏内、自転車圏内、自動車圏内で通える病院がどんどん変わることが説明されています。
車に乗って移動できるということは、ある程度遠くまで行くことができるということ。
逆に言えば車がなければ生活範囲は大きく狭まるということです。
それならばなるべく安全運転を続けていただきたい。
ただし、これはまだ安全運転ができる高齢者の場合です。
認知機能が低下した状態では運転自体を私たちはおすすめできないのです。
(システム上、講習修了証は交付されますが)
車がないと生活できない地域の方にとって運転免許は持っておきたいものですよね。
お気持ちはとてもよく分かります。
それでも。
私たちが願うのは、ただただ「命があって元気でいること」なのです。
事故は自宅の近くで起こりやすい
「自宅の半径500m以内で事故が一番起こりやすいって知ってた?」
これは私が車の免許を取得した際に教習指導員に言われたことです。
慣れた道だから良いというわけではないのですね。
もう少しで帰れる。
そこで気が緩むのでしょうか。
◇ ◆ ◇ ◆
「自動車の運転免許は返納したけれど、まだね、家の周りは坂が多いから、原付だけはね・・・。慣れた道だけにしているの。家族にもそう言われていて。」
そう話される高齢の女性も悩んでいるようでしたが、
「慣れた道は特に危ないんだよ」
とご家族に伝えるすべも私たちにはなく・・・。
ジレンマを感じながらも私たちは毎回の高齢者講習をこなして行くしかないのが現状です。
すでにこの問題は高齢者のみで抱えるものではないのですよね。
本当ならば高齢者講習や認知機能検査、実車指導はご家族やその代わりとされた方がご一緒されることが一番だと思うのですが、
義務のようになるまでには難しい問題です。
法整備される前に 〜車のない生活を想像する大切さ〜
例えば法律で「◯◯歳以上の方は免許返納すること」となる前に、さまざまな環境を整えられれば良いのですが、実際にはまだまだです。
(今後、高齢者講習に試験制度が加わることはほぼ決まっていますが、現在はまだ「こうなります」とお話しできる段階ではありません。
こちらは正式に決まってからとなります。)
高齢者の事故のニュースがセンセーショナルに取り上げられると「法律で運転できないように決めちゃえ」という意見をよく目にします。
そういった意見はその方もそうなるという覚悟があっての発言かは不明で、とても乱暴です。
ただもし本当にそうなってしまったら免許返納せざるを得ないのですから、私たちがいつもお伝えしているように、
- 車の運転をしない生活をしてみる
- 安全運転を続けられるよう認知機能の低下を防ぐ生活をする
- サポカーなどをすぐに導入する
など、少しずつで良いので、試しつつ行っていただきたい。
これは高齢者だけではなく、まだまだ若いとされる年齢の方々もです。
今現在は外出機会も少し減っているはずです。(記事作成時)
少しずつ、少しずつ。
車に乗ることが必要な現在から今後をどうしていったら良いのか考えて行くことがとても大事。
私たちは一人では生きていくことができないのですから。
written by ミミ(の中の人)