前回のページでは高齢者講習を受ける流れを説明しました。
今回はいよいよ「高齢者講習を受ける目的」を説明していきます。
「目的って交通事故を防ぐこと?」
「いろいろ運転を気をつけるとか?」
そうですね(^^)
もちろん事故を防ぐことも大きな目的ですが、「高齢者講習を受ける目的」をちゃんと知ると高齢者講習を受ける気持ちは大きく変わります。
ぜひこの機会に学んでいきましょう!
前回(1)までのおさらい
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STEP01「高齢者講習等通知書」のハガキが届く記載されている自動車教習所や運転免許センターに早めに予約をしよう
※75歳以上の方は認知機能検査・運転技能検査があります -
STEP02自動車教習所に行こう70歳〜74歳(免許満了時)の方は高齢者講習を受講しよう
75歳以上の方は認知機能検査・運転技能検査を受けよう -
STEP03自動車教習所に予約をしよう(75歳以上の方)
【認知症のおそれありの方】
専門医による診断を受けるか、主治医等の診断書を公安委員会に提出しよう -
STEP04自動車教習所に行こう(75歳以上の方)認知機能検査の結果が認知症のおそれなしと判断された方は高齢者講習を受講しよう
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STEP05免許の更新をしよう高齢者講習が終了しているので更新手続きのみです
下記の書類を持参し更新手続きをしよう
・「認知機能検査結果等通知書」
・「高齢者講習終了証明書」
・【対象の方のみ】「運転技能検査結果証明書」
以上がおさらいになります(^^)
高齢者講習を受講する目的
高齢者講習とは、次のとおりです。
- 運転免許証の更新期間が満了する日における年齢が70歳以上になる方が、
- 免許証の更新をするときに受けなければならない講習
「高齢者講習を受講する目的」は下記の通りです。
「ご自身に自分がどのような運転をしているか」を客観的に知っていただくこと。
高齢者の身体機能の衰えを知り自覚していただくこと。
どうしたって人間は高齢になってくると認知機能が衰えていきます。
認知機能の衰えは誰でもそうなりますし、仕方のないことです。
重要なのはそれを自分で知ること、知ったことを受け入れること。
誰にだって「老い」はやってきます。
昨今の高齢者の事故などのニュースはけして他人事ではなく、「ひとつの社会問題」としてとらえる事柄です。
他人事じゃないってことは、もう自分たちの問題ってことだね。
自分を過信しないことが大事!
これらは高齢者講習の中でもお話しされることです。
そしてとっても大事なこと。
頭に叩き込む勢いでしっかり考えましょう。
高齢者は自分では知らず知らずのうちに自己流の安全確認をしていたり、「過去自分は無事故無違反を何十年もできていたのだから」と言う過信があったりします。
「そんなことないよ!」と思われるかもしれませんが自覚をしていないだけでクセがついています。
自信だと勘違いした「過信」があるのです。
若い頃とは違うことを認識する
高齢者の交通事故はほぼ身体機能の衰えによるものが大多数です。
若い頃より反応は遅くなっているのに(加齢にも個人差はありますが)若い頃と同じ運転をしていないでしょうか。
あなたが若い頃よりも今は確実に身体機能は衰えています。
それを自覚できずに若い頃と同じではないでしょうか。
「スピードも一緒」
「車間距離も一緒」
「確認するタイミングも一緒」
つまり若い頃とは身体機能は同じではないのだけれど、運転操作は若い頃と同じままということです。
若い頃も今も運転にはとても気をつけているはずです。
ただ昔と「同じような気をつけ方」では安全運転が継続できないのです。
高齢者講習で自分の身体機能の状態をしっかり自覚し、今の身体機能に合った運転操作をしていかねばなりません。
「そんなに若くないって言わなくたっていいじゃないか・・・」
上記のように思われるかもしれません。
ですが体はどうしても衰えてきていきます。どうしても避けられないのです。
生きているんだもんね。
頑張って生きてきたから、そうなっていくんだよね。
その通りです。
考えてみてください。
- 反応時間だったり
- 体の動き
- 判断動作のタイミング
- 注意配分
- 運転操作
- 長年の運転のクセ・・・。
自己流になってはいませんか?
自己流になっていることを高齢者講習では自覚してもらいたい。
本当に危ないんだなぁと分かってもらいたい。
自分の運転が「ここは良いんだけれど、この確認の仕方はまずいんだ」と
しっかり気づいてもらいたいのです。
私たち教習指導員がきちんとアドバイスするので免許更新時に少し立ち止まり、しっかりと考えてほしいのです。
しっかり考える良い機会が高齢者講習です。
短い時間ではありますが、今の自分を考えたり知ったり気づく機会としては十分。
教習指導員はプロです。
プロによる指導を、講習を、ぜひ楽しく受けて学んでくださいね。
一緒に考えていきましょう!
高齢者講習が終わったらどうしますか?
高齢者講習は自分の現在の運転を知る良い機会だと説明しました。
高齢者講習が終わったらどうしますか?
終わったらおしまいですか?
もちろん講習が終わったあとはお疲れだと思うので
ゆっくり休んでくださいね。
ただそのあと普通の生活に戻ったとき、私たちは自己流に戻ってほしくないと言う思いで講習をしています。
もう年齢が若かった頃とは違うことを実生活ではっきりと認識してほしいのです。
昔と同じ安全確認をしていれば大丈夫と言うわけではありません。
大丈夫だと思っていても突然ほかの車と衝突してしまうこともあります。
なぜ昔と同じではダメなのかきちんと知ってほしいのです。
こんな経験はないでしょうか?
- 普通に運転していたつもりでもほかの車からクラクションを鳴らされてしまった。
- 気がついたら急に後ろから追い抜かれた。
それはもしかしたらあなたが危険な運転をしていたからかもしれません。
ぜひこの機会に日頃の運転を振り返ってみてほしい。
どれくらい昔と変わってしまったのかを知ってほしいのです。
あなたが事故を起こさないために 〜高齢者の踏み間違え事故〜
一時停止でしっかり止まっていますか。
標識の見落としはしていませんか。
側を走るバイクを見逃していませんか。
若い頃と同じ時間でアクセルからブレーキに踏み変えられますか。
ちょっとした段差でつまずくことはありませんか。
つまづくことがあればそれは足の筋力の衰えです。
足の筋力の衰えは、ほぼ高齢者の踏み間違え事故の原因です。
もしかしたらグサグサッと傷つくことを言われていると感じるかもしれません。
踏み間違えの事故というのは危ない瞬間「ヤバイ!」と思って足を動かしているつもりでもあまり動かず、ブレーキではなくアクセルを踏んでしまうことで起こることが多いのです。
そのため私たちは口をすっぱくして言います。
「昔より視力が落ちていますよ」
「昔より筋力が落ちていますよ」
「昔より視野が狭まっていますよ」
視力が落ちていなくても焦点を合わせるのが遅くなっています。
そのため標識の見落としが多いのです。
例えばこんなことです。
- 矢印の信号(セパレート信号)が点いているのに赤信号だと思って止まってしまった。
- きちんと確認したつもりだったけれど自転車が出てきてびっくりした。
若い頃だったらチラッと見ればちゃんと見えていたものが現在も同じように見えているとは限りません。
昔は1秒くらいでしっかりと安全確認できていたものがはたして今は同じ1秒で確認できているでしょうか?
うーん、自分では知るのは難しいなぁ。
誰かに見てもらいたいなぁ。
そのための高齢者講習です!
空白の50年と呼ばれるもの 〜まだ若い方も忘れてはならないこと〜
「空白の50年」と呼ばれるものが存在すると言われています。
あまり聞いたことはないのではないでしょうか。
高齢者だけではなく、優良・一般ドライバーはこれまで何も講習を受けてこなかった。
これが「空白の50年」です。
この「空白の50年」も問題だと言われています。
これからさらに増加の一途をたどると思われる高齢者社会において、私たちはどのように「車やバイクとのお付き合い」を続けていくかをきちんと考えていく必要があるでしょう。
私たちは人間です。
今現在年齢の若い方も、いずれは「免許返納」を考えるときが訪れることをけして忘れてはならないのです。
運動不足にならないように気をつけて、安全運転をしましょう!
今回のおさらい
以上が「高齢者講習を受講する目的」です(^^)
耳が痛い言葉がたくさんあったかもしれません。
「いっぺんに言われても困る!」と言うお気持ちも分かります。
これから少しずつでも考えていけたら大丈夫です(^^)
それではおさらいをしていきましょう!
次は高齢者講習の「内容」だよ♪
「認知機能検査」についても
説明したいと思います!